散歩

買い物
江戸川乱歩全集 第15巻 三角館の恐怖 (光文社文庫)


大自然の中を自転車で走るのもいいものですが、音楽を聴きながら走るなら夜の住宅地に限ります。家からもれ出す光は住む人の生活を想像させ、音楽の中の登場人物に重なるのです。ポップソングの舞台はたいてい住宅地です。
夜の住宅地を走るときよく思い出すのは魚喃キリコ「ある女のコのお誕生日」です。主人公が25歳の誕生日の夜、急にいたたまれなくなって住宅街を散歩する場面がありますが、このいたたまれなさと夜の住宅街という取り合わせがすごくしっくりくるのです。
散歩の名作としてつげ義春「近所の景色」というのもあります。みすぼらしいものの方に共感を寄せてしまう心境と散歩という行為も密接につながっているように感じます。でも、魚喃キリコの方が、その軽さが散歩の本質に迫っているようにも思います。



最近、シャーロックホームズ関係の本が叩き売りされているのをよく見かけます。本編の方ではなくあくまで関連本です。シャーロキアンの一人がついに自立し、聖典以外を手放すに至ったのでしょうか。僕は逆に本編を読まずにどこまで本編を再構築できるか、という不毛な試みをやってみようかという気になってきました。