冬の蝿

今日の一枚

アメリカ

アメリカ



隣人に図書カードをもらった。
僕の部屋は本当に直方体の空間が一つあるだけで、炊事洗濯などの機能は共有の廊下にある。部屋に入りきらない本は廊下に出している。隣人はそれを見て、税務署からもらった図書カードをあげる気になったらしい。助かります。


もらったからには新刊の本を買わなくてはいけない。しかし、買いたい本などいくらでもあるのだけれど、今買う必然性のある本をすぐには思いつかないし、僕が買いたくなる程度の本は古本でも安く見つかることが多い。


さしあたってフィッシュマンズ全書未来のイヴ (創元ライブラリ)か。ここで、最近の自分の音楽事情を思い出す。uptodateな情報との唯一の接点、クッキーシーンを買わなくなってから久しい。音楽以外の分野にまわすお金が増えたためだ。しかし、今聞いてる音楽はほとんどクッキーシーン経由で知ったものばかりだ。この機会に最近のを買ってみてもいいかなと。
52号と53号を購入。
中山康樹ビーチ・ボーイズのすべて (エイ文庫)では思い出のスマハマがビーチボーイズ史上最悪の曲として紹介されていた。しかし52号の Paul Lydon のレビューでは全く同じ曲が「その土地の人が忘れていた原風景を呼び起こしてくれる」と何だか褒めた調子で書いてあっておもしろい。
収録曲は52号の方が全体に静かで実験的な曲が多く、好み。


しかし、それにしても佐藤伸治はいいこといってる。佐藤伸治について語る人たちもいいこと言おうと必死になってる感じがする。家にある佐藤伸治の発言を載せた本を見直そうと、米国音楽Vol.15の川崎大助による追悼記事(Vol.3)を読み直す。Jimmy Scottと佐藤伸治が似てるって話を読んで、Jimmy Scottを聴きたくなる。



●『文壇アイドル論』斎藤美奈子 読了
田中康夫が一番褒められてた。四方田犬彦がいいこと言ってた。
デリダ」と「デニーズ」を同一の次元で語ろうとした時点で既にデリダの側に立っちゃってるんだよ、と。


うちの部屋は密閉されてるはずなのにたまに虫がいる。今日はコオロギのようなのがいた。梶井基次郎の小説に「冬の蝿」というのがあったなと思い出す。