文豪とファイトクラブ

井伏鱒二が面白いんじゃないかというのは二年ほど前に「へんろう宿」を読んだときに感じました。しかし、井伏鱒二の文庫本なんてどこに行っても安く売ってあるので買うのをつい先延ばしにしてしまい読む機会を逸したままでした。しかも学校の教科書に載ってるような小説というのは手垢にまみれてる気がしてなかなか読む気になれないというのも正直なところです。
二週間前、旅行先で立ち寄った古本屋でとくに欲しい本もなかったのでそろそろ潮時かなと思い新潮文庫の「山椒魚」を100円で購入しました。折を見つけてちょこちょこ読んでます。

で、やっぱりおもしろい。
「夜ふけと梅の花」なんてまるでファイトクラブのようでした。
今日読んだ「言葉について」にはつげ義春の「紅い花」「リアリズムの宿」「もっきり屋の少女」の香りが漂っていました。
逆か、つげ義春的な空気というのは多分に井伏鱒二的な空気なのですね。ようやく実感しました。